感染性物質の輸送

はじめに

感染性物質は多種多様な理由から国内および国際的に輸送される。輸送する物質を損なわず、目的地への適時の到着を促すためにも、荷送人(荷物の送り主)には、輸送物の梱包や輸送条件が法的要件を厳守していることを確認する責任がある。
郵便、航空会社、その他の輸送業に携わる人々は、容器の破損、漏れ、または不適切な梱包により洩れ出した感染性微生物への暴露によって、感染する可能性を懸念している。したがって、感染性物質の輸送容器は、輸送中に破損する可能性を最小限に留めるように設計されていなければならない。さらにまた、確実に検体を無傷に保ち、そして時宣にかなった的確な処理を行えるような容器でなければならない。

危険物はその危険性分類(hazard classification)と組成により、国連番号(UN番号)と正式、輸送品目名(proper shipping nama)が割り当てられる。正式輸送品目名は、危険物品あるいは危険物質を明確に識別するために用いられる。

感染性物質は区分6.2に分類され、適宣UN2814、UN2900、UN3291、あるいはUN3373の国連番号が割り当てられる。

世界保健機構(WHO)の「感染性物質の輸送規制に関するガイダンス」で感染性物質は以下のカテゴリーに細分類される:

分類(Classification)

危険物はその危険性分類(hazard classification)と組成により、国連番号(UN番号)と正式、輸送品目名(proper shipping nama)が割り当てられる。正式輸送品目名は、危険物品あるいは危険物質を明確に識別するために用いられる。
感染性物質は区分6.2に分類され、適宣UN2814、UN2900、UN3291、あるいはUN3373の国連番号が割り当てられる。
世界保健機構(WHO)の 「感染性物質の輸送規制に関するガイダンス」で感染性物質は以下のカテゴリーに細分類される。

カテゴリーA(Category A)

その物質への暴露によって、健康なヒトまたは動物に恒久的な障害や、生命を脅かす様な、あるいは致死的な疾病を引き起こす可能性のある状態で輸送される感染性物質をいう。

UN2814:ヒトの疾病またはヒトと動物両方の疾病の原因になる感染性物質
UN2900:動物だけの疾病原因となる感染性物質

カテゴリーB(Category B)

カテゴリーAの基準に該当しない感染性物質をいう。
UN3373:カテゴリーA以外の感染性物質

「感染性物質の輸送規制に関するガイダンス2013-2014(WHO)」(国立感染症研究所日本語訳)
WHO 感染性物質の輸送規則に関するガイダンス(2013-2014)

※「感染性物質の輸送規制に関するガイダンス2013-2014(WHO)」の別添2に含まれる感染性物質の臨床検体等臨床検体については、感染症法の運搬基準に準じた方法で運ぶことが望ましい場合など、個別判断すべきケースもある。

輸送のための梱包要件

感染性物質を輸送する際の注意点

感染性物質を航空機輸送する際には、国内、海外いずれの場合でも航空危険物規則書に記載されているルールを遵守しなければなりません。カテゴリーAとカテゴリーBでは、容器や容量などの基準が変わるので注意が必要です。
下記ヘカテゴリーAとカテゴリーBの主な違いをまとめました。

  カテゴリーA カテゴリーB

包装基準

IATA包装基準620(PI620) IATA包装基準650(PI650)

1次容器

防漏型の密閉されたもの

2次容器

内圧差95kPaに耐えるもの
(-40°C~+55°C)

内圧差95kPaに耐えるもの

3次容器(外装容器)

カテゴリーA用の国連規格マークの記載要

UN番号 UN2814
UN2900

UN3373
(カテゴリーAの基準に該当しない感染性物質)

(IATA=国際航空運送協会・International Air Transportation Associationの略)

<上記に関する補足事項>

  • 1次容器が破損しないよう緩衝材で覆う。2次容器内には万が一、一次容器から漏れた場合に備えて内容物が 全量吸収できる吸収剤を入れ、1次容器は2次容器内で固定する。
  • 2次容器と3次容器の間に内容物項目リストを入れる。
  • 外装容器には適切な表示をする。

感染性物質の輸送許容量

(国立感染症研究所翻訳・監修版 WHO/CDS/CRS/LYO/2005.22より抜粋・引用)

カテゴリーA <1個の輸送用外装容器あたりの収納許容量>

航空輸送の場合 ・旅客用航空機の場合は50ml(液体)または50g(固体)
・貨物用航空機の場合は4L(液体)または4kg(固体)

カテゴリーB

航空輸送の場合 ・一次容器の内容物は1L(液体)または1kg
・1個の輸送用外装容器あたりの輸送量は、4L(液体)または4kg(固体)
地上輸送の場合 (道路、
鉄道、海上輸送)
1個の輸送用外装容器あたりの最大量は定められていない

梱包方法

カテゴリーA

カテゴリーA(UN2814とUN2900)

梱包基準P620に準拠した梱包容器だけに限られる。
輸送時は、必ずカテゴリーA用の容器を用いて基本三重梱包で送る。
(WHO 感染性物質の輸送規則に関するガイダンス P16~22 参照)

ご提案商品(カテゴリーA)

上記の組み合わせでのご使用をお勧めしております。(法的要件は3次容器までになります)

カテゴリーB

カテゴリーB(UN3373)

梱包基準P650に準拠した梱包容器だけに限られる。
輸送時は、カテゴリーBまたは、カテゴリーA容器を用いて基本三重梱包で送ってください。
(WHO 感染性物質の輸送規則に関するガイダンス P23~26参照

ご提案商品(カテゴリーB)

上記の組み合わせでのご使用をお勧めしております。(法的要件は3次容器までになります)

関連情報

  • 上記の使用説明動画を作成しました。
    冷蔵保存にて検体を運搬される場合の保冷ボックスは「BioBoxQ」をおすすめしております。
  • 3次包装までの梱包については、こちらの資料を参照ください。
  • SARS-CoV-2の遺伝子検査の検体を外注にて検査する際の輸送は、カテゴリーBの感染性物質の規定に従い輸送することが、所定点数4回分の算定に必要とされております。
  • 不活化されたSARS-CoV-2疑いの検体の輸送について、日本郵便からカテゴリーBの感染物質の規定に従ったもののみを取り扱うことが示されています。
  • 「貨物自動車運送事業者を利用して検体等を送付する場合の包装に関する遵守事項」が令和2年4月14日に策定されています。ドライアイスを冷媒として使用する際の取り扱いについて詳細に記載されています。事故防止のためにお読みください。その他「感染性物質輸送容器紹介ページ」、弊社の「感染性輸送容器カタログ」と国立感染症研究所の「2019-nCoV (新型コロナウイルス)感染を疑う患者の検体採取・輸送マニュアル」を参照ください。また、IATAより「Guidance for Operators」が出されております。

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